【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「だからさ、今度美織もまた一緒にサンクチュアリに行こうよ。彼のいい男っぷりを美織にも見せたいの」

「え? またあのお店に? 私はいいよ……あの夜は特別だったんだもん。尊さんだっていい顔はしないだろうし」

本人から行くなと言われたわけではないけれど、夜遊びに出かけるよりは、家で彼の帰りを待っていたい。

出張を早めに切り上げてきた昨日は少し時間に余裕があったけど、今朝は私より早く家を出て行ったし、普段忙しい彼とは毎日そこまで言葉を交わせるわけじゃないから。

「ちょっと、私は美織のお願いを聞いてあげたのに、逆は協力してくれないわけ?」

凛子は納得いかない様子で口をとがらせた。

「え?」

「美織の大冒険を手伝ってあげたのは私でしょ? だから美織も、私の新しい出会いを応援するために一度くらい付き合ってくれたっていいじゃん」 

「そ……そっか。ごめん、そうだよね」

自分の時だけ協力してもらって、逆の立場になったら断るって、よく考えたらなかなかの薄情者じゃない、私……。

「じゃあ、尊さんに聞いてみてから連絡するね。もし彼がダメって言ったらその時はゴメン」

「うん、それでいいよ。あ~早く美織にも会わせたいな~あのイケメン……」

凛子がうっとりした顔で宙を眺める。そこまでイケメンなら一度お目にかかりたい気もするし、別に私は気軽に食事を楽しみに行けばいいのだ。

で、凛子がその男性といい感じになりそうだったら退散。よし、そのプランで行こう。

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