転生したらイケメンだったので浮気しまくることにした
俺の名前は
坂上 大輔。16歳。顔は中の中位でモテるかモテないかで言えばモテない。全くモテないわけではないが告白されることはほとんどなく、今までに彼女ができたのは3回。そのうち2回は自分から告白した。今は山奥暮らしで大変なことも多いが、大学は都会の方のを受験するつもり。頭はそこそこいいと思う。が東大とかは狙うほどのものでもない。だから適当に選んで適当に遊んで適当に就職できそうな大学を目指すつもり。なんだけど...

今、俺、大変な状況なんだよ。

朝、俺は学校へ行くため朝ごはんを食べ、歯を磨き、顔を洗って即出発。いつものように急な下り坂をのんびりのんびり下っていくと、道の真ん中に女の子が倒れている。無視するわけにもいかず、声をかけるとお腹がすいて動けないというではないか。仕方ないので、今日のお弁当を彼女に差し出す。彼女はお礼を言い、俺の大事なお弁当を全てたいらげてしまった。全部あげてしまうつもりはなかったのだが、なくなってしまってから言ってもどうしようもないのでそのままお別れするはずだった。

シュッ

山奥暮らしのせいか、風の動きに敏感だった俺は後ろからものすごいスピードで近づいてくる何かにすぐに気づく。彼女をかばいながら少し後ずさりし、何かが飛び出してくるであろう茂みをじっと見る。が何も出てこない。

少し安心した俺は目線を少しだけあげると...

茂みに入りきらないほど大きな茶色い毛玉。俺はこの大きさのもふもふ毛皮を持った動物など一匹しか知らない。



熊はもともと体格の割に臆病な動物で好き好んで人を襲ったりしないのだが、この熊は違う。自分から近づいてきた。しかもかなり怒っているご様子だ。わけもわからず怯えている彼女と俺。動物と対面した時は背中を見せて逃げると追いかけてくると学んでいる俺は、このどうしようもない状況をなんとかしようと頭を働かせた。チラリと彼女の方を見ると顔が真っ青でこの世の終わりだと思っていると思わざるおえない様子。

普通の高校生の俺はアニメなどで見る勇敢な人たちのように大きな熊に挑んだりしない。やられること間違いなしだから。逃げ切ること最優先で考える。正直な話、一人で逃げ切ることは簡単なのだ。彼女を置き去りにして逃げればいい。でも。男が女を見捨てて逃げるとかカッコ悪い。それに寝覚めが悪いだろう。お弁当を与えた彼女を殺されるかもしれない場所へ置き去りにするとかどんな鬼畜野郎だ。

でも、無傷でここを行きて逃げ出すにはこれしか方法はないだろう。しかも生き残れるのは片方。彼女が走って逃げることはまずできないので生き残れるのは俺だけだ。

まだ考える。ここは通学路。俺以外にもこの道を通る生徒はたくさんいる。俺たちが逃げ切れたとしても他の生徒たちが襲われる可能性もある。何もしないよりはマシと、カバンについている防犯ブザーを鳴らす。このブザーは俺の学校が独自で開発したもので、鳴らすとすぐ学校、家に通知される。さらにGPS反応から鳴らしたものの位置を把握し、さらにはその周辺にいる生徒にまで知らされるのだ。最後のは近くにいる他の生徒まで巻き添えを食わないためなのだが、今回は役立つだろう。

さて、これだけじゃ何が起きてるかは大人たちに伝わらない。この熊を吠えさせる必要がある。
「ねえ、君、立てる?これからちょっとあの熊からはしってにげなきゃなんだけど。」
「む、、、ぃ、、、、、」
言葉にならない声で彼女は無理と答えた。正直声かける前から答えはわかっていたが仕方ない。
「じゃ、ここでじっとしてて。ほんとは熊に死んだふりとか意味ないけど、他に獲物がいれば別だからさ。」
俺は彼女にそう言い残し、弁当箱を構えた。
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