一途な執事と甘いティータイム
後ろでブツブツ言っている大河を他所に、自分の部屋へと足を進める。
一度会場から出て、ここまで戻るには少し時間がかかる。
無駄に土地が広すぎるんだよ、もう。
心の中で文句を言いながらも、口からまた不満が飛び出る。
「なんでまだ後ろにいるの?私、部屋に戻りたいんだけど」
「うん、いいよ」
「そうじゃなくてさぁ、早く帰ってくれないかな?」
嫌味っぽく突き返しても、大河は少しも動じない。
「嫌だね。俺も菓乃ちゃんの部屋に入る」
「はぁ?」
何言ってんの、コイツは。
「やだ、断る」
「なんで?前はよく部屋に入れてくれたのに」
「それは小学生とか小さい頃の話でしょ?今と昔じゃ違うの。却下」
「へぇ〜。俺に見られたくないものでもあるの?例えば……エッチな本とか?」
「ば、ばっかじゃないの!?……って、ちょっと!」
ありえないことを言われて動揺している隙に、大河が私の部屋へと入ってしまった。
この大河の馬鹿野郎。
絶対許してやんないんだから。