一途な執事と甘いティータイム
海の家まで走ればきっと逃げられる。
ただし、私より背の高い3人組に取り囲まれていて、すり抜けられそうな隙間がない。
まるで壁のようで、外からも中からも様子を見ることができない。
私は一体どうすれば……
「黙っちゃってどうしたの?怖くなっちゃった?」
「大丈夫だよ、俺ら優しいし。なぁ?」
「あぁ、ちゃんと優しくするよ。しかも地味子ちゃんかと思ったけど、よく見たら結構可愛いし。ラッキー!」
この人たちのやり取りで、やっぱり危険な人だということはわかった。
早くここから逃げないと。
「ほら、おいで」
グイッと掴まれた腕を引かれる。
嫌だ、怖い。
「いやっ!やめて!」
思い切っり振り絞ってやっと声が出た。
それなのに、出てきたのはやっと自分で聞き取れるくらい小さな声。
これじゃ周りの音に消されて、SOSは聞こえない。
ねぇ、有嶋助けてよ。
私の専属執事でしょ?
放っておいて欲しい時にはすぐに見つけられるのに、なんで肝心な時は来ないのよ。
こんな時だけ都合のいいことを考えてしまう私。
だから、バチがあたったのかもしれない。