一途な執事と甘いティータイム
よろしくね、菓乃ちゃん
大河と別れたあと、私は美菜子の対応に追われていた。
「ねぇ、菓乃!ちょっと、さっきのどういうこと?」
私に婚約者、ましてや彼氏がいるなんて聞いてないと回答を迫られている。
大河は婚約者……ではあるけれど、私は一切認めていないし、彼氏でもない。
ただ親同士がそう決めているだけ。
いわゆる政略結婚ってやつ。
そんなことを美菜子に打ち明けるわけには行かず……
「親がお互い仲良くてね、小さい頃からの幼なじみだから、勝手にそう言われてるだけなの。だから、私は大河のこと好きなわけでもなくって…」
「えぇーあんなにイケメンなのに勿体ない!!」
あんなイケメン幼なじみが近くにいるなんてこと普通ないよと羨ましがられた。
これが好きな人、とかであれば近くにいられることが幸せでいいなと思うのかもしれないけれど、大っ嫌いな大河となると……
話は別だ。
「確かにイケメンだけど、女遊び激しいし、性格最悪だよ、アイツ」
「んー確かにそれは嫌だなぁ。やっぱり幼なじみなだけあって、あの人のこと詳しいんだね」
「あはははは」
ふふふっと美菜子は不敵な笑みを浮かべていて、私は苦笑いを返した。