一途な執事と甘いティータイム
「そうだよ。私の隣にいた人は転校生。大河 大夢って言うんだけど知ってる?」
私がその名前を口にすると、一瞬だけれどいつも余裕そうでポーカーフェイスの有嶋の表情が引きつった気がした。
ほんの一瞬だから私の見間違いかもしれないけど……
確かに、ほんの少し。
「もちろん、知っていますよ。桜宮グループとも関係の強い大河グループの御曹司であり、次期社長。今は自社ブランドTiGのモデルもやられてるとか」
「う、うん、そうなんだけどそうじゃなくて…」
私が聞きたかったことはそれじゃない。
「確か前に一度、パーティーの時に会っているじゃないですか。あの御曹司が何故庶民の通う公立高校にいるのか不思議でしょうがないんですよ」
それを言われたら私も例外じゃないんだけど……
「何か嫌な予感がするので気をつけてくださいね。くれぐれも気を抜かないように」
本当に聞きたいことは有嶋にさらりと流されてしまったけれど、有嶋の言う"嫌な予感"は何となく私も感じていた。