一途な執事と甘いティータイム
「本当に大河くん人気者だね」
「うん、そうだね」
窓際で作業をしていると、空いている窓の外から騒がしい声が聞こえてくる。
ふと覗いて見れば、私たちのクラスのスペースにもの凄い人が集まっている。
その中心にいるのが言うまでもなく大河だ。
大河は大道具係として看板を作成している。
もちろん、そのデザインも大河のもの。
認めたくはないけれど、そのデザインはとても良くて何も言うことができない。
「みんな早く戻って来てくれないかな」
「そう言えば男子の寸法測ってくるって出ていったんだっけ……?」
美菜子が手を止めて思い出したように呟いた。
衣装係の女の子たちがそう言って教室を出ていってからもう30分くらいは経つ。
思ったより時間がかかってしまっているだけならいいんだけど、教室から様子を見る限りそんな様子はなく、ただお喋りをしているだけのようにも見える。