一途な執事と甘いティータイム



「…まさか」



「やっと思い出してくれた?」



「本当にあのお兄ちゃんなの?」



私が問いかけると有嶋は笑みをごぼした。



もう会えないかもしれないと思っていたあのお兄ちゃんに、今ここで会うことができた。



微かな記憶をよくよく思い出してみれば、だいぶ大人にはなったけれど、目元とか口元とかあの頃の面影があるかもしれない。



じゃあ、豪邸である大河家なのにあんな薄暗く狭い部屋に居たのって、この前話してくれたお母さんとのいざこざのせいで……



「俺が菓乃に一目惚れしたのはあの時だった」



「えぇ、一目惚れだったの!?」



「おい、恥ずかしいからいちいち突っ込むなって……なんで菓乃が顔赤くしてんだよ」



「いや、見ないでよバカっ」



一目惚れなんて言われたの初めてだったから。



しかも面と向かって言われたらどうしたらいいかわからないじゃん。


< 191 / 267 >

この作品をシェア

pagetop