一途な執事と甘いティータイム
気になっている、かもしれない


この1週間はいろいろなことがありすぎた。



学校祭の準備でただでさえバタバタとしていたのに、あの馬鹿な大河のせいで今までの努力が無駄になった。



でも、良かったこともある。



ずっと嘘をつき続けて罪悪感でいっぱいだった美菜子に本当のことを伝えられて、あの夜、前よりもずっと仲良くなれた。



それと……また会いたいと思っていたお兄ちゃんに会うことができた。



そんな事実を知ってから、懐かしい夢を見るようになった。



お兄ちゃんに初めて会った日の夢。





***



私は気がついたら、見覚えのある薄暗い部屋にいた。



『このドアはなーに?』



『このドアはね、僕の秘密の扉だよ』



『秘密ー?』



かすかに覚えている遠い記憶。



私の視線の先には幼い私とお兄ちゃん……有嶋が話している。



『ねーねー!教えて?菓乃にも教えて!』



『いいよ、この前初めて開けられたんだ。一緒に行ってみよっか』



薄暗い部屋の中にあった重そうなドア。



私より一回り大きい有嶋がドアを開ける。


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