一途な執事と甘いティータイム
「……眩しいっ」
薄暗い部屋に差し込んできた光。
この眩しさがあの部屋の薄暗さを物語っている。
有嶋が隠れるように住んでいたあの部屋。
『あ、お外だ!!お兄ちゃん、お外に出られるよ!』
『そうみたいだね、行こうか菓乃ちゃん』
『うん!』
そこから出られた有嶋はとても嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
裏口なだけあって手入れがされておらず、そこは草が生い茂り綺麗な庭とは言えない状態。
それでもそこから見えた青空はとても綺麗だったことを思い出す。
『外は綺麗だね、菓乃ちゃん』
『うん!お兄ちゃん、こっちで遊ぼう!』
無邪気だなぁ、私も有嶋も。
"俺は菓乃に救われた"
"暗闇にいた俺を光の中に連れ出してくれた"
昨日、そんなことを有嶋が言っていた。
きっと毎日が辛くて逃げ出したくて……笑顔なんて全くなかったのかもしれない。
そんな有嶋が今、こんなに笑っている。