一途な執事と甘いティータイム


有嶋の笑顔……



『お兄ちゃん笑ってた方がいいよ!』



『え?』



ふとした幼い私の言葉に手を止める有嶋。



『お兄ちゃんさっき、悲しそうな顔してた。菓乃ね、お兄ちゃんの笑ってる顔が好き!』



『じゃあさ、ずっと僕のこと菓乃ちゃんが笑顔にしてよ』



『菓乃が?』



『そうだよ。菓乃ちゃんは僕を笑顔にしてくれる魔法が使えるみたいだから』



幼い私は自分は魔法使いだと嬉しそうに草むらを走り回る。



有嶋の過去は知らない。



でも、私が有嶋を救ってた。



『ねー、菓乃決めた!』



『どうしたの?』



『菓乃ね、お兄ちゃんと結婚する!そしたらお兄ちゃんとずっと一緒にいられるでしょ?』



け、結婚!?



子どもの言うことなんて、そのうち忘れてしまうけれど……



私、そんなこと言ってたの?



『わかった。じゃあまた会えるの楽しみにしてるね』


< 198 / 267 >

この作品をシェア

pagetop