一途な執事と甘いティータイム
有嶋の笑顔……
『お兄ちゃん笑ってた方がいいよ!』
『え?』
ふとした幼い私の言葉に手を止める有嶋。
『お兄ちゃんさっき、悲しそうな顔してた。菓乃ね、お兄ちゃんの笑ってる顔が好き!』
『じゃあさ、ずっと僕のこと菓乃ちゃんが笑顔にしてよ』
『菓乃が?』
『そうだよ。菓乃ちゃんは僕を笑顔にしてくれる魔法が使えるみたいだから』
幼い私は自分は魔法使いだと嬉しそうに草むらを走り回る。
有嶋の過去は知らない。
でも、私が有嶋を救ってた。
『ねー、菓乃決めた!』
『どうしたの?』
『菓乃ね、お兄ちゃんと結婚する!そしたらお兄ちゃんとずっと一緒にいられるでしょ?』
け、結婚!?
子どもの言うことなんて、そのうち忘れてしまうけれど……
私、そんなこと言ってたの?
『わかった。じゃあまた会えるの楽しみにしてるね』