一途な執事と甘いティータイム
「そんなに焦ってどこへ行くのですか?」
「っ、どこでもいいでしょ?早くそこを避けて」
「それはできませんね、菓乃お嬢様」
あと少しで裏門から出られたのに……
成長して学んだ私は、どうしたら監視の目をくぐり抜けて外へ出られるのか。
何度も脱走を繰り返して計画を立てていた。
やっと今日、上手く行きそうだったのに。
「やめて、離して!」
「無理です」
「ちょっと!きゃっ!」
黒いスーツ姿の彼は、格好から見てここの執事。
でも、私の専属ではない。
あまり見た事ないけど……新人さん?
……ってそんなことより!
「早く降ろして!」
「降ろしたら逃げるじゃないですか」
「当たり前でしょ!?」
捕まってしまったかと思えば、何故かお姫様抱っこをされ、その足は家の中へと戻っていく。
計画は失敗だ。