一途な執事と甘いティータイム
「とにかく絶対に行きたくないから。その招待状はお父さんに返しておいて」
すっと私の前に招待状を差し出す有嶋の腕をパシッと払った。
「すみませんお嬢様、それは出来かねます」
「お嬢様って呼ばないで」
「はい、お嬢様」
「……」
最近こんなことが多くなった。
前の執事の神山さんは、申し訳ないとは思っているけれど、こうして毎度困らせていた。
私の盛大なワガママで何度かパーティーを免れたこともある。
だがしかし、相手が有嶋となるとそう簡単にはいかない。
……というか、ワガママなんてものは一切通じず、全て上手くかわされる。
私をイラッとさせることが上手くなって、言い返すことも面倒くさくなってしまう。
「では、ここに置いておきますので。パーティーはゴールデンウィーク中になります」
私が半分諦めた様子を見て満足気な有嶋は、そう言って部屋を出て行った。
「はぁ……」
なんだか疲れる。
誰もいなくなった部屋の中で、大きなため息をついた。