一途な執事と甘いティータイム
不機嫌になるのは私の番。
半分引きずられながら家の中へと入っていく。
話が伝わるのが早くて、門にいる仕様人は全てを理解した様子でドアを開けてくれた。
「何も無くてよかったですよ、お嬢様」
通りすがりの仕様人がそう声をかけてくる。
肩が大きく上下に動いているところをみると、きっと走り回って探していたのだろうということがわかる。
迷惑をかけてるってことはわかってる。
申し訳ないとは思ってる。
それでも、私はこの世界が嫌いなの。
だから早く自由にして欲しい。
こんな窮屈なところは嫌だ。
遠い私の部屋へと着くと、有嶋がドアを閉めた。
「さぁ、早くお着替えください」
不機嫌な私は、ドカッとお気に入りのソファーに腰かける。
「疲れたの。ちょっとそっとしておいて」
「わかりました。今紅茶とクッキーをお持ちしますから、その間にお願いしますね。それと、くれぐれもまた抜け出そうなんて"バカ"なことを考えないように」
またイラッとするように強調させてきた。