一途な執事と甘いティータイム



不機嫌になるのは私の番。



半分引きずられながら家の中へと入っていく。



話が伝わるのが早くて、門にいる仕様人は全てを理解した様子でドアを開けてくれた。



「何も無くてよかったですよ、お嬢様」



通りすがりの仕様人がそう声をかけてくる。



肩が大きく上下に動いているところをみると、きっと走り回って探していたのだろうということがわかる。



迷惑をかけてるってことはわかってる。



申し訳ないとは思ってる。



それでも、私はこの世界が嫌いなの。



だから早く自由にして欲しい。



こんな窮屈なところは嫌だ。



遠い私の部屋へと着くと、有嶋がドアを閉めた。



「さぁ、早くお着替えください」



不機嫌な私は、ドカッとお気に入りのソファーに腰かける。



「疲れたの。ちょっとそっとしておいて」



「わかりました。今紅茶とクッキーをお持ちしますから、その間にお願いしますね。それと、くれぐれもまた抜け出そうなんて"バカ"なことを考えないように」



またイラッとするように強調させてきた。


< 54 / 267 >

この作品をシェア

pagetop