一途な執事と甘いティータイム
「わかったから、さっさと行って」
今の私にはそんな気力はない。
有嶋が部屋を出ていったあとで、大きなため息をついた。
誰もいなくなったことを確認してから、とりあえずこのドレスを脱いでしまおうと立ち上がる。
えっと着替えは……これでいっか。
そう思ってクローゼットから取り出したのは、ワンピース型のルームウェア。
どうせ今日はもう外に出られないし、疲れたし。
ベッドの上で優雅にゴロゴロと過ごそうじゃないの。
そう意気込んで着替えようとして気づく。
「……脱げない」
体がとても硬い私。
背中にあるチャックに手が届かない。
これじゃドレスが脱げないじゃん!
どうしよう、すごく窮屈。
──コンコン
「失礼します」
やばい、有嶋がもう戻ってきた。
「……何してるんですか?」
「えっとこれは……」
届かない手を精一杯背中に伸ばしてみるも、届かず、なんとも不格好な姿の私。
ちょっとこの体勢は恥ずかしい。