一途な執事と甘いティータイム
な、な、なっ……!
みるみるうちに近づいてくる有嶋の顔に、私はギュッと目を瞑る。
チュッと音を立てて触れた生暖かい感触。
私はただポカーンと目を開けた。
「何?ここにしてもらえるとでも思った?」
そう言って有嶋は、私の唇に人差し指を当てる。
「ばっ、ばっかじゃないの!!」
やっと正気に戻った私は、出せる精一杯の力で有嶋の肩を押し返した。
「ふっ。さっさと着替えて冷めないうちに食べてくださいね」
有嶋は何がおかしいのか笑って部屋を出て行った。
何よ、なんなのよ。
どういうつもりなの?
「……あっ」
有嶋が出ていった後、背中のチャックが途中まで下ろされていることに気がついた。
もしかしてあの瞬間に……
それと同時に思い出す、有嶋の唇の柔らかい感触。
触れたおでこがじんわりと熱を持っていた。