一途な執事と甘いティータイム
「あと、離れすぎです。危ないのでこっちに来てください」
「……っ」
腕をグイッと引かれて、有嶋に体が引き寄せられる。
無意識のうちに有嶋から離れようと車道側へ飛び出ているらしい。
それをよく見ていて、安全のために引き寄せてくれるなんて紳士的なのか、執事としての使命感なのか。
よくはわからないけれど、今の私の心臓をうるさくさせるには十分な出来事だった。
調子が狂う。
ゴールデンウィーク前と変わらない登校時間。
距離が遠くなったわけでもないのに、とても長く感じた。
この状況から抜け出したくて、お願いだから早く学校に着いてと願っていた。