一途な執事と甘いティータイム



私たちの部屋は25番。



受付とは真反対の奥の部屋だった。



「わぁ……」



薄暗くてちょっと狭い個室。



そこに大きな画面が壁にかけられている。



置かれていたソファーは少し硬め。



そんなソファーに腰をかける。



「では、お嬢様。今日のティータイムの始まりです」



有嶋がそう言ったと同時に曲がかかった。



どうやら部屋に入ってすぐに有嶋が入れたらしい。



イントロ部分が流れて、有名な歌だと気づく。



確か最近よく流れている曲で……そう、ついさっき受付に並んでいる時にも流れていたはず。



「おーい、菓乃」



「ふぇっ?」



「何ぼーっとしてんだよ。次、菓乃の番」



はいっとマイクを手渡された。



有嶋に声をかけられるまで意識がどこかへ飛んでいた。



有嶋の低い声が響いて、いつの間にか吸い込まれていた。


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