一途な執事と甘いティータイム
「ねぇねぇ、菓乃!夏休み中何か予定ある?」
ホームルームが終わるなり私の元へとやってきた美菜子。
予定はあると言えばある。
来週にもパーティーがあるし、そのあとはお父さんについて会社に行く。
この夏出る新商品の宣伝モデルも頼まれている。
少しの自由を守るために、断りたくても断れない。
でも……
「ううん、空いてるよー」
嘘だ。
また嘘をついた。
だって、私も夏休みを謳歌したい!
「本当!?じゃあさ、来週海行こうよ!」
「えっ、行きたい!」
ずっと引きこもりなんて嫌。
家のことに振り回されるのなんて無理。
「よし、決まりね!また連絡するー」
「うん、待ってるね」
友達と海水浴なんて、初めてのこと。
嬉しすぎて、美菜子が先に帰ってしまった今も頬が緩んで仕方がない。
「楽しみだなぁ」
思わずそう呟いた。