一途な執事と甘いティータイム
「今日は随分と楽しそうですね」
「そう?」
「はい。いつもなら家に帰るのが憂鬱で文句ばっかり言っていますからね」
「出てきちゃうものは仕方ないじゃん」
有嶋と合流した帰り道。
こうして有嶋と登下校するのもしばらくないんだなぁ。
べ、別に寂しいとかそんなわけじゃないんだけど……
「それで、何かいいことでもあったんですか?」
「そうそう、美菜子がね、夏休み中海に遊びに行こうって誘ってくれて!こんなの初めてだなぁ」
いつも学校での出来事を話す時はよく出てくる美菜子の名前。
そのせいか有嶋も覚えたようで、それは良かったですねと返してくれた。
「ところで、お嬢様のスケジュールは予定でいっぱいですがいつ遊びに行くのでしょうか?」
「うっ……」
痛いところをつかれた。
それを承知の上で、どうにかしてサボろうと勝手に約束を取り付けてしまった。
「考えが甘いですよ、お嬢様」
有嶋は余計なところにまで気がついてしまう優秀な執事。