一途な執事と甘いティータイム
いや、それでもいい。
自由な時間をもらえるのなら。
「ただし、一つだけ条件がございます」
自由を得ることは簡単じゃない。
この有嶋が無償で叶えてくれるなんて思っていたのは、私が甘かった。
そうだよ、私の執事は意地悪な有嶋だ。
「……なによ」
嫌な予感しかしない。
「来週のパーティーには必ず参加してください」
「ううっ」
うん、そんな気がしてたんだ。
ゴールデンウィークの一件もあって、パーティーに対する私の監視が厳しくなっているのは、ひしひしと感じていた。
「もし、できないというのなら、今後一切自由が無くなるかと思いますが如何なさいますか?」
半分脅しのようなものだけど、きっと現実になってしまうのだろう。
「わかったよ、ちゃんとパーティーには参加するから」
「はっきりと言いましたね。これで契約成立です 」
有嶋がそう言って制服のポケットから取り出したのは、録音中になっているスマートフォン。
「なっ……!」
思わず立ち止まる私に、有嶋はくすくすと笑っていた。
まんまとやられた……。