一途な執事と甘いティータイム
パーティー開始時刻まであと1時間ほど。
もうあと30分もしたら、招待されているお客さんたちがぞろぞろと高級車に乗ってやってくるだろう。
この日、私はお父さんから会場の入口でお出迎え役を頼まれていた。
またニコニコとしたくもない笑顔を顔に貼り付けながら接待をしなければいけない。
せっかくの夏休みだっていうのに、全然休みなんかじゃない。
不満や文句はとめどなく溢れでてきた。
一番の不満は────
"来週のパーティーには必ず参加してください"
そう私に言ったはずの有嶋が、今日休みだとかなんとかでここにいないこと。
私には偉そうにあんなこと言っておいて、自分は優雅にお休みで夏休みを満喫しているなんて……
許せない。
この事実を知ったのは昨日の夜のこと。
寝る前にそういえば……と有嶋が突然私の部屋にやってきて「明日、私はお休みさせていただきます」と。
それに「私が居ないからと言って、約束を破るなんてことはしないでくださいね。他の者に聞けば、すぐにわかりますし、私の元へもお父様から直接連絡が来ますので」と私の逃げ場はないのだと、釘を刺すように言葉を残して行った。