一途な執事と甘いティータイム



おじ様を先頭に、その後からぞろぞろと招待客がやってきた。



その度にお決まりの挨拶をして、奥へ通す。



あぁ、頬が吊りそう。



偽りの営業スマイルが崩れていないか心配になりながらも、何とかやり切った。



そして、最後にやってきたのは私が最も嫌いなアイツ。



「大河様、お待ちしておりました」



"TiG"の社長とその付き添いである顔も見たくない婚約者。



「菓乃ちゃん、お出迎えありがとう。今日は楽しませてもらうよ」



「はい、様々なイベントやお料理をご用意させていただいておりますので、お気に召していただければ光栄です」



大河グループ社長はこんなにも優しい人なのに……



なんでコイツはこんなにもムカつくんだろう。



「菓乃ちゃん、ゴールデンウィークぶり! 今日も可愛いね」



「はいはい、どーも」



今すぐに蹴り飛ばしたい気持ちを抑えて、周りにバレないよう満面の笑みを作って返す。



その口を針と糸で縫い付けてあげたい。



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