一途な執事と甘いティータイム



会場へ戻るとちょうど開始時間だったみたいで、照明が薄暗くなった。



それを合図にザワついていた会場内も静まっていく。



一番前のステージには一本のマイクスタンド。



そこにスポットライトが当てられると、ステージ脇からお父さんが出てきた。



会場からは大きな拍手が響く。



「ようこそ皆様、本日は我が桜宮グループが主催するパーティーへお越しくださいまして、誠にありがとうございます」



アイロンもピシッとかけられたスーツ。



堂々と前に立って話すお父さんは、かっこいいとは思う。



あぁ、この人は努力を積み上げてきた人なんだなって。



その辺に関しては、お父さんのことを尊敬している。



代々受け継がれてきた桜宮グループであり、"Sakura"というブランドだけれど、ここまで大きくして行ったのは紛れもないお父さん。



パーティーに招待すれば、こんなにもお客さんが来てくれる程、信頼関係を築いているのはこれまでの経験と実力なんだろう。



そんな大きなお父さんの姿を私は会場の一番奥で眺めていた。


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