一途な執事と甘いティータイム



「それでは後ほど、新商品のお披露目会も行いますのでお楽しみに。それまでお食事をしながらごゆるりとお過ごしください」



お父さんの挨拶が終わり、また盛大な拍手が送られた。



新商品のお披露目会の時には、私がモデルとして前に立たなければいけない。



それは今日の私のやりたくない重大任務。



でも、最初のご挨拶も済ませたし、それまでは特にすることも無い。



部屋にでも戻ってようか。



別にこの家から出ていくわけじゃないんだから、脱走したことにはならないでしょ。



有嶋との約束を破ったことにはならないはずだ。



……というか、有嶋は休んでるんだからこれくらいは許してくれたっていいはず。



何となく悪いことをしている気分の私は、こちらを誰も気にしていないのを確認してから、こっそりと会場を出た。


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