気づけばいつも探してた
翔からの電話の前はあれほど眠たかったのに、今は頭だけが冴え冴えとして体が気だるい。

たった一時間ほどしか話してないのに、随分長い時間が流れていたような疲労感があった。

翔の今に至るまでの経験を、まるで自分がこの短時間に一気に経験したような。

切れたスマホを手に持ったままソファの上でしばらく動けなかった。

胸が激しく鼓動を打っている。

なんだろう。

まるで誰かに告白して振られた直後みたいな気分だ。

不完全燃焼的なものが自分の中でぐるぐる渦巻いていた。

翔のこと知れば知るほど、彼が何を考えてるのかわからなくなってくる。

それと比例するように自分の気持ちが明確に浮かび上がってくる。

気づかなければよかった気持ち。

翔にとって、やっぱり私は友達なの?

私が誰かと幸せになるまで親しくできればそれでいい関係。

だから、気安く松山城にも誘えたりしたのかもしれない。

気があるようなこと言ってたのも全部ふざけていただけ。

本気で言ってたわけじゃないんだ。

一人盛り上がってLINEを送っていた自分が滑稽に見えてきた。

結局私は翔にも振られ、年明けには竹部さんにも振られることになる。

なんてオチなの!?

そりゃそうだよね。今まで何の目標もなくぷらぷらと気ままに生きてきたツケがここに来ただけだ。

やっぱり神様はよく見てる。こんなに易々と幸せを運んできたりはしない。

ちょっとした夢をこの数か月見せてくれていたってことか。このオチのために。

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