気づけばいつも探してた
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「いい天気だね」

松山空港に降り立った翔は雲一つない青空を見上げてそう言った。

確かに。

澄んだ青空は大気圏のずっと向こうまで続いているような深い青色。

空港から、翔が手配してくれていたレンタカーに乗り松山城に向かった。

松山城までは車を降りてロープウェーと徒歩だ。

山の上に聳え立つ松山城は、ロープウェーの後もかなり歩かないといけないらしい。

翔からの事前情報のおかげでいつものジーンズとトレッキングシューズを履いてきた。

ゆるやかな石畳の階段を上ると、更に上に登っていく道が続く。

城ははるか山頂に見えいていた。

「登山ね」

「ああ、結構あるね。しんどくなったら背負ってやろうか?」

そう言って意地悪な顔で笑う翔に半分本気で返す。

「私なんか背負ったら翔の細い体はつぶれちゃうわ」

「そんな重たいの?俺、これでも結構体力あるんだぜ」

「そうなの?細いからそんな風には見えないけど」

「俺って美南にはどんなけ頼りなく映ってんだ?」

翔はそう言うと「さっさと行くぞ」と言って、私の右手を握って坂道を上がっていく。

え?

さりげなく繋がれた手は、どういう反応していいのかわからず、力なく彼の手にゆだねられていた。

翔の手は大きくて熱かった。そして、繊細そうな細い指が私の手にしっかりと絡み簡単には解けそうにない。

ドキドキが手から伝わるんじゃないかと思いながら、黙ったまま彼の導く方へと必死に歩いた。

冬だというのに、かなりの勾配と手を握られた緊張で私の額は汗ばむ。
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