気づけばいつも探してた
『大丈夫なの?』

「はい、多分大丈夫だと思います」

『じゃ、少し遅くなるけど20時にS駅のロータリーで待ち合わせでもいいかな』

「はい」

『じゃ土曜日にまた。おやすみ』

「おやすみなさい」

スマホをベッドの上に置く。

竹部さんは私が断ることがもう既にわかってるような気がした。

それなのに、とても冷静で落ち着いていて、やっぱり私にはもったいないくらいできた人。

竹部さんには私じゃなくたって、きっとふさわしい女性はたくさんいるはず。

すぐに翔にLINEを送る。

翔は幸い一日開けてくれていたからお昼から夕方までで全く問題ないとのことだった。

今週の土曜日は忙しい一日になりそうだ。

何かが終わって何かが始まるんだろうか。

それとも何かが終わって、そのまま何も始まらないのかもしれない。

ふと妙な胸騒ぎがして、自分の胸に手を当てて深呼吸した。

翔と竹部さん。

二人は血のつながらない兄弟。

その微妙な関係と、それぞれと繋がっている未だに信じられないような偶然に自分の立ち位置を見失いそうになる。

自分の気持ちはこんなにもはっきり決まっているのに……。


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