気づけばいつも探してた
16.二人の間
16.二人の間
土曜日。
朝早くからお昼ご飯に気合を入れて下ごしらえをしている母の背中が見える。
朝食を終えた私はコーヒーを飲み干すとそんな母のそばに行き「何か手伝おうか?」と声をかけた。
「いいのいいの!美南がいると味が変わっちゃってまずくなるから手伝わなくて結構」
「何それ?失礼な言い方!」
私はくちを尖らせ、リビングにいる父と祖母の方を向いて苦笑する。
父は、読み終えた新聞をダイニングテーブルの上に置くと母に呼び掛けた。
「母さん、じゃ俺はゴルフ行ってくるよ。翔さんとやらによろしくな」
「はーい、いってらっしゃい!」
母は手元を忙しく動かしながら顔だけ父の方に向けて言う。
「お父さんは今日はいないの?」
母の耳元で尋ねると、母は少し口元を緩めた。
「美南にとってはただの友達でも、お父さんにとっては大事な娘を取られたような気持になるんじゃない?昨晩、急にゴルフ行くことを決めたみたい」
「そうなんだ」
普段おとなしい父は、私のすることやることにいちいち口を出すことはないタイプだったので、
母の話はとても意外で少し驚いた。
父はいつも飄々として何も考えてないみたいだけど、私の男関係を気にしたりするんだ。
普段私の知らない父を知ってる母は、やっぱり父の奥さんなんだとあらためて思う。
なんて当たり前だけど、夫婦って互いにしか見せない顔があるのかもしれない。
土曜日。
朝早くからお昼ご飯に気合を入れて下ごしらえをしている母の背中が見える。
朝食を終えた私はコーヒーを飲み干すとそんな母のそばに行き「何か手伝おうか?」と声をかけた。
「いいのいいの!美南がいると味が変わっちゃってまずくなるから手伝わなくて結構」
「何それ?失礼な言い方!」
私はくちを尖らせ、リビングにいる父と祖母の方を向いて苦笑する。
父は、読み終えた新聞をダイニングテーブルの上に置くと母に呼び掛けた。
「母さん、じゃ俺はゴルフ行ってくるよ。翔さんとやらによろしくな」
「はーい、いってらっしゃい!」
母は手元を忙しく動かしながら顔だけ父の方に向けて言う。
「お父さんは今日はいないの?」
母の耳元で尋ねると、母は少し口元を緩めた。
「美南にとってはただの友達でも、お父さんにとっては大事な娘を取られたような気持になるんじゃない?昨晩、急にゴルフ行くことを決めたみたい」
「そうなんだ」
普段おとなしい父は、私のすることやることにいちいち口を出すことはないタイプだったので、
母の話はとても意外で少し驚いた。
父はいつも飄々として何も考えてないみたいだけど、私の男関係を気にしたりするんだ。
普段私の知らない父を知ってる母は、やっぱり父の奥さんなんだとあらためて思う。
なんて当たり前だけど、夫婦って互いにしか見せない顔があるのかもしれない。