気づけばいつも探してた
それなのに彼を忘れようとすればするほど美由紀の思いは募っていき、大切な友達を利用してしまった自分の愚かさに苛まれた。

そして訪れた年末。

偶然アメリカの空港で竹部さんと遭遇した時、一気に今まで抑えていた気持ちが互いに溢れ出す。

竹部さんに自分の全てを話し、また竹部さんも私と付き合いながらも美由紀のことをずっと忘れられなかったことを伝えた。

ただ、竹部さんは自分の父親に私と付き合っていることを既に伝えていて、近々会わせなければならないとういう状況。

私を傷つけず別れる方法は、竹部さんからではなく私から別れを切り出してもらうこと。

竹部さんは、私が自分に気持ちがないことを随分前から察していたらしい。

だから急なアメリカ行きを含めたプロポーズをすれば恐らく私は断るだろうと踏んでいた。

しかし、美由紀はそんな嘘でごまかすのではなく、待ち合わせの場所に自分も一緒に行き正直に私に話し謝りたいと思った。

そして今日、待ち合わせに向かう途中で急に飛び出してきた子供を避けた際に事故に合ってしまった……。

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「全て私が悪いの。こんな事故に合ってしまったのもきっと罰が当たったんだわ」

言い終わると、再び大粒の涙を流しながら私の手をぎゅっと握りしめた。

「……本当にごめんなさい」

「うん、わかった。もう大丈夫だから泣かないで」

そう言いながら、私も竹部さんに気持ちがないとわかっていながらそれを伝えることを躊躇っていたことを悔やむ。

私の意思がもっとはっきりしていればこんなことにはならなかったのかもしれない。

「私も、もっと早く竹部さんに伝えればよかった。他に好きな人がいるって」






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