気づけばいつも探してた
廊下のくぼんだ場所で美由紀と待つように言われ、先に翔が竹部さんの部屋に様子を伺いに行く。

しばらくして、部屋から処置を終えたのか二人の看護師が出てきた。そしてその直後、扉から翔が頭だけ出し私たちに手招きする。

私は美由紀と顔を合わせ頷くと、足早に部屋に向かい扉から滑り込むように中に入った。

部屋の中央には昨日と同じように沢山の管に繋がれた竹部さんが横たわっていて、ピッピッと心電図モニターから規則正しい音が響いている。

美由紀は目を大きく見開き眉をひそめたまま、ゆっくりと竹部さんに近づいた。

モニターのすぐ横に立っている翔は心配そうな目で美由紀を見守っている。

竹部さんは寝ているのか目をつむったまま微動だにしない。

美由紀が竹部さんの枕元までたどり着いた時、竹部さんの唇がわずかに開き「美由紀?」とかすれた声で尋ねた。

まさか気配だけで彼女の存在を感じたの?それとも夢うつつの状態で美由紀の名前を呼んだんだろうか。

彼女はベッドの脇に置いてある椅子に座り、まだ目を閉じている彼の手を両手で握った。

「大さん……」

うっすらと竹部さんの瞼が開き、彼女の方に視線を向ける。

「ん……美由紀、もう大丈夫なのか?」

そう言った彼の目は、私も見たことがないくらい優しい目だった。

「私はこの通り。大さんこそどうなの?」

「俺はこのざまだよ。でも、美由紀が軽く済んで本当によかった。腕は痛まないか?」

「ええ、明後日には退院できるくらいだから大したことないわ」

美由紀は笑って、痛めた方の腕を軽く持ち上げて見せる。

「美南」

いつの間にか私の横に並んでいた翔が私の腕を掴んで部屋の外に出る合図を送ってきた。

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