気づけばいつも探してた
静かに扉を引き、二人で部屋の外に出る。

「しばらくはここで見張り番してやるか」

翔は腕を組み扉にもたれた。

ロング丈の白衣の裾が揺れている。

白衣って彼の長身とスタイルのよさが一層引き立つ服装だわと感心しつつ、私もその隣にもたれて尋ねた。

「ここにまだいて仕事は大丈夫?」

「ああ、もともと今日はアメリカ出張の準備に当てただけだから、特に緊急性の仕事はないんだ」

「そっか……」

「それから……今朝父に話をして、兄さんの容態が落ち着くまでアメリカ出張を遅らせてもらうことにしたよ。あと、兄さんの治療スタッフの一員にも加わることも了承してもらえた。もちろん小児科医の仕事が最優先だけどね」

「よかったね。きっとお父さんも竹部さんもその方が安心だわ」

「兄さんの容態だけど、やはり頚椎をかなりひどくやられてるみたいで近々手術が必要らしいよ。俺も当日は立ち会うつもりだけど、その手術で利かなくなってる右手が治ればいいんだけど……完全に戻る確率は五分五分ってとこかな」

「きっとよくなるわよ。ううん、絶対よくなってもらわなくちゃ。翔がそんな弱気なこと言ってどうするの?」

「そうだな。今はお前のその楽観的思考に助けられるよ」

「何よ、楽観的思考ってまたバカにして!」

私は笑いながら翔の腕を軽く叩く。

「そうやってどんな時も元気をくれる美南が俺は好だよ」

翔は前を向いたまま聞こえるか聞こえないかの声で言った。

突然そんな恥ずかしいセリフを言われることにまだ慣れない私は一気に顔が熱くなる。

「わ、真っ赤かになってるぞ」

それなのに、翔は意地悪な顔をして私の耳元で更に追い打ちをかけてきた。

「もう!翔なんか嫌い!」

そう私が言い放った瞬間、私の唇が塞がれる。

何が一体どうなってるのかわからず目を見開くと、スッと翔の顔が私から離れ何事もなかったような表情で「嫌い?」と確認するかのように尋ねた。

病院でキスばっかりしてたら、そのうち誰かに見られて立場が危うくなるのは翔なんだからね!

そう言い返そうと思ったのに、ドキドキが爆発しそうでプイと横を向くしかできない自分が歯がゆい。

その時、もたれていた扉がゆっくりと開き中から美由紀の顔がのぞいた。

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