気づけばいつも探してた
「美南、ちょっといいかな?」

上目遣いで美由紀が私を呼んだ。

それにしても、あと一瞬美由紀が扉を開けるのが早かったらと思ったらドキドキする。

翔に「いってくる」と声をかけ、動揺を悟られないよう深呼吸をして部屋に入った。

入るとすぐに竹部さんが「美南ちゃん」と声をかけてきた。

首は固定されているから、あおむけに寝たままだったけれど視線だけこちらに向けている。

竹部さんのそばに美由紀と並んで座り尋ねた。

「まだお話してても大丈夫ですか?」

美由紀が部屋に入ってからかれこれ15分は経っているだろうか。

面会謝絶の状態なのにこんなに長時間話していることが心配になる。

「お気遣いありがとう。大丈夫だよ」

私はどんな表情をしていいのかわからず、目を伏せて少しだけ笑った。

「美由紀から聞いたと思うけど、本当に申し訳なかった」

「いえ、私の優柔不断でこんなことになってしまってごめんなさい」

「美南ちゃんは謝ることはない。悪いのは全部僕達だ。謝って済む問題ではないのはわかっているけど一生かけて僕たちは君のためにできることはしたいと思ってる」

「それなら……」

私はしっかりと美由紀の目を見つめて言った。

「二人は必ず幸せになってください。それが私の一番の願いです」

竹部さんと美由紀は視線を合わせてどうしていいかわからないような表情で再び私の方に顔を向ける。

「二人が幸せになってくれないと私も幸せになれないって思ってるんです。こういう結果を招いたのは、きっと私も含めて皆がそれぞれゆがんだ気持ちで相手を愛してしまったから。だから皆がまっすぐな気持ちで思いを遂げた時、最高の幸せが訪れるような気がしてるんです」

「美南……」

美由紀が潤んだ瞳で私の肩に手を置く。

「美由紀から聞いたんだけど、美南ちゃんはずっと弟の翔と知り合いだったんだって?」

竹部さんの口から出た翔の名前を不思議な気持ちで聞きながら頷いた。

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