気づけばいつも探してた
「元気じゃないって、何かあった?」

「この間、マイアミで唯一の城を見に行ったんだけどこれが今一つでさ」

「へー、マイアミにも城があるのね」

「城っていうか宮殿かな。でも全く俺の好みじゃなかった」

「しょうがないじゃない。きっと日本みたいな城文化が栄えてないのよ」

「まぁ、それはそれで構わないんだけどさ。どうにもこうにもならないんだ」

「何が?」

「何やっても何見てもちっとも気分が踊らない」

翔は頬杖をついたまま、ビールを口に含む。

既に翔が注文してくれていたかき揚げを自分の皿にとりながら更に尋ねる。

「仕事が忙しいの?疲れてるんじゃない?」

「違う」

「じゃ、どうしたっていうの?いつだって一人で遊ぶの得意だったじゃない?」

いつになく神妙な面持ちの翔に冗談っぽく言いながら笑ってみた。

「美南がそばにいない」

「え?」

かき揚げを口に入れようとしたままの体勢で静止する。

「お前がいないとどうしようもないんだ、俺」

「翔ってそんな寂しがり屋さんだったっけ?」

相変わらず直球に弱い私は、努めて冷静にかき揚げを口に頬張ることでドキドキをはぐらかした。

「来てくれないか?マイアミに」

「えーっと。まぁ、仕事が落ち着いたら一度遊びに行ってもいいかな、とは思ってたけど」

「そういうんじゃなくってさ」

翔の目に緊張が走るのがわかった。

本当は、翔が何を言いたいのかも気づいていたけど、気が遠くなりそうなほど心臓がバクバクしてる。








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