気づけばいつも探してた
「……知らない」

「どうして相談しなかったの?そういうこと言ったら嫌われるとか?」

「ううん。そうじゃないわ。彼に迷惑かけることはしたくなかっただけ」

「美由紀って、大人ね」

ティーカップを両手で抱え持ったまま呆然と美由紀を見つめていたら、美由紀がそんな私を見て笑い出した。

「美南だって大人じゃない。ほんと、あなたと話してたら癒される」

「だって、どうして別れたのか私には全くわからないもの。一緒に乗り越えることのできる壁だってあるじゃない?」

「じゃぁ、もし美南の大好きな人に自分の借金を背負わせることになったとしたらどう思う?」

「それは、申し訳なくて嫌だわ」

「ね?」

「でも、私は大好きな彼とは別れたくないもの」

大好きな彼、か。

言ってしまってから、竹部さんの色っぽい目が浮かぶ。

大好きな彼なんて言うのは恐れ多く感じるくらい素敵な人。

それこそ、竹部さんと私の方が不釣り合いだと思う。

竹部さんにはもっと洗練された美しくて知性もあって、そうね、美由紀みたいな人がお似合いなのかもしれない。

そんな美由紀と目が合うと、彼女は「ふふふ」と意味深に笑い、頬杖をついて私を上目遣いで見つめた。

同じ女性ながら、そんな仕草で見つめられたらドキドキしちゃうんだけど。

「例の外科医の彼とはどう?うまくやってる?」

で、急にこっちに振る??!

もう~、話の途中なのに!と思いつつ、美由紀もあまり話したくないのかもしれないとあきらめ、軽く息を吐きティーカップをテーブルに置いた。
< 23 / 186 >

この作品をシェア

pagetop