気づけばいつも探してた
LINEを送ってから一時間経過。

既にパンケーキはきれいに食べてしまい、お皿も下げられてしまった。

ここで一人で水だけで居座るのはそろそろ限界かな。

私はすっかり椅子に根が生えてしまったお尻をなんとか持ち上げた。

外に出ると空気がピリッと冷たい。

もう10月も半ばだもんね。私は慌てて持ってきたジャケットを羽織った。

いつの間にか日が暮れるのも早くなってきていて、17時過ぎだというのにもう空は薄暗い。

雲に夕焼けが反射してところどころオレンジに光っていた。

ジャケットのポケットに手を突っ込んで駅に向かって歩き出す。

日曜の街は金曜や土曜に比べると夕暮れ時の人の波は少ない。

明日からまた仕事だもんね。

私も明日からまたがんばらなくちゃ。

その時、ポケットに突っ込んでいた手がスマホの振動を感じた。

翔?

ポケットから取り出して早速開くと案の定翔からだった。

【松山城】

たった一言だけ書かれてあった。

松山城、いいねぇ。私も行きたかった城の一つだ。

【いいね~】

と打った後、松山城って、愛媛県だよね。

ってことは、泊り?!どういうこと?

「へっ!?」

思わずここが駅前だということも忘れて素っ頓狂な声が出てしまう。

慌てて口を塞いだけれど、すぐ脇をサラリーマン風のおじさんが怪訝な表情で私を見ながら通り過ぎっていった。

まさか、泊りで一緒に行こうって誘ってるわけじゃないよね?

いやいや、もちろん一緒に行ったって部屋は別にするわけだしそんな問題はないか。

すぐにLINEが着信。

【決まり。また連絡する】

決まり、って。

あいつは一体何考えてるんだ?ってなにも考えてないからこんな提案ができるんだ。

一応私も独身女子なんだから。

しかも外科医の彼がいる身なんだってのに、もう少し気を遣えって。

そのまま返信はせずにやってきた電車に飛び乗った。
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