気づけばいつも探してた
受付時間になり、あわただしく対応に追われる。プロモーション開始時刻の一時間前だというのに人の波は途切れることはなかった。
大手が触らない場所を必死に確保しながらここまで生き抜いてきたわが社を誇らしく思う。
例年に増して医療界における重鎮達の顔ぶれに驚きながら、受付で手渡される招待状と招待一覧表と照合していく。
隣にいた今年から加わった新人の若葉萌があたふたしていたので「大丈夫よ、落ち着いて」とフォローの声掛けをした時、私の前で聞き覚えのある声。
「忙しそうだね」
顔を上げると竹部さんが涼しげな笑顔で立っていた。そうか、彼もT大病院の将来有望株の外科医だものね。
濃紺のスーツにグレーのワイシャツ、シルバーのネクタイはシックな中に品の良さを漂わせている。
フォーマル姿の竹部さんを見るのは初めてだったけど、当然ながらどこかのファッション誌から抜け出てきたような美しい立ち姿で、私の横で受付をしていた総務の小松さんが目を奪われて一瞬動きが止まったのが、わかった。
竹部さんだ、と思いつつも手と口を休めることなく通常通りの受付業務を行う。
だって営業管理チームリーダの占田さんがギロリとこちらを監視していたから。
「いつもお世話になっております。招待状拝見させていただいてよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
招待状には『T大病院脳神経外科部長』となっていた。
ってことは竹部さんは代理で来たのかしら?
そういう場合は念のため確認することになっている。
「恐れ入りますが、部長様の代理の方でいらっしゃいますか?」
知り合いだとどうも調子が狂うと思いながらも尋ねた。
大手が触らない場所を必死に確保しながらここまで生き抜いてきたわが社を誇らしく思う。
例年に増して医療界における重鎮達の顔ぶれに驚きながら、受付で手渡される招待状と招待一覧表と照合していく。
隣にいた今年から加わった新人の若葉萌があたふたしていたので「大丈夫よ、落ち着いて」とフォローの声掛けをした時、私の前で聞き覚えのある声。
「忙しそうだね」
顔を上げると竹部さんが涼しげな笑顔で立っていた。そうか、彼もT大病院の将来有望株の外科医だものね。
濃紺のスーツにグレーのワイシャツ、シルバーのネクタイはシックな中に品の良さを漂わせている。
フォーマル姿の竹部さんを見るのは初めてだったけど、当然ながらどこかのファッション誌から抜け出てきたような美しい立ち姿で、私の横で受付をしていた総務の小松さんが目を奪われて一瞬動きが止まったのが、わかった。
竹部さんだ、と思いつつも手と口を休めることなく通常通りの受付業務を行う。
だって営業管理チームリーダの占田さんがギロリとこちらを監視していたから。
「いつもお世話になっております。招待状拝見させていただいてよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
招待状には『T大病院脳神経外科部長』となっていた。
ってことは竹部さんは代理で来たのかしら?
そういう場合は念のため確認することになっている。
「恐れ入りますが、部長様の代理の方でいらっしゃいますか?」
知り合いだとどうも調子が狂うと思いながらも尋ねた。