気づけばいつも探してた
何度経験してもなんともいえない空虚な気持ち。

きっと彼のオーラが強すぎて、輝きすぎて、そばにいるのといないのとの落差が大きすぎるからじゃないだろうか。

優秀な外科医と付き合うって想像以上に大変だ。

よほど大らかで理解がある女性でないと務まらない。

私は全然そんな人間じゃないのに、まるでそうしていないといけないような気持になってくる。

彼は、どうして私なんかを選んだの?

あまりにトントン進んでいく関係に、不安を感じずにはいられなかった。

私はとりあえずシャワーを浴び、着替える。

壁時計に目をやると、まだ19時過ぎ。

このまま一人で家に帰るのは空しすぎる。

飲みにでも行きたいな。

こんな時、飲みに誘える相手は彼しかいない。

そう思ってスマホの画面を開ける。

いやいや。

なんだか都合よすぎるよね。

いくら気の置けない男友達だからって。

いつも呑気な顔してるあいつにだって予定はあるだろうし、ひょっとしたら彼女といいことしてる最中かもしれない。

今日はあきらめてこのまま家に帰ろうか、と思いサイドテーブルにスマホを置こうとしたら着信音が鳴った。

見ると彼、(しょう)からの電話だった。

思わず飛びつくように電話に出る。

< 5 / 186 >

この作品をシェア

pagetop