気づけばいつも探してた
8.凛とした花
8.凛とした花

とにかく事実確認をしなくちゃ。

一体どうなってるのかわからない。萌のバッグからあのUSBが出てきたって?

萌が何度も探して見つからなかったのに、バッグの中にあるUSBなんか見落とすわけがない。

しかも、萌はUSB自体立花さんに返したって記憶が残ってるんだから。

顔が熱い。

外の空気が冷たいから一層体中が熱くなるのが自分でもわかる。

改札を抜けたと同時に到着した電車に飛び乗った。

黒のショートブーツの革紐がほどけているのに気付き慌てて結び直す。

今日はなんだか慌ただしい。

こういうときに限って何か起こったりするんだよね。

祖母にも「無理しちゃいけないよ」と言われたっけ。

ふぅ~と大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着ける。

電車の中は時間も時間だったからか割りと空いていたので、扉近くの座席に腰を下ろした。

竹部さんから年末の旅行をキャンセルされ、その代わり正月に会うことになり、よって翔と松山城に行けることになり、更に祖母をつれて三人で姫路城に行くことになった。

手帳を広げ今日決まった予定を一つ一つ確認する。

たった1日でこんなに予定が入ることも珍しい。

そして、今祖母の病院から萌が心配で会社に戻っている自分てほんと翔が見てたらドタバタしすぎだって笑われちゃうわね。

もう一度靴紐をしっかり結び直し、電車を降りた。
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