気づけばいつも探してた
祖母が横になった布団のふくらみをぼんやり眺めながら私もお茶を口に含む。

私が結婚したら、翔は離れていく?

友達なのに?

私にはまだその言葉の意味がピンとこなかった。

っていうか、結婚だって予定すら立ってないのにそんな先のこと考えられるはずもない。

だけど、翔がそばにいない時が来るなんて今は考えられなかった。

女友達に言いにくいことも翔には言えたし、本当につらい時は夜遅くまで電話して話を聞いてもらっていた。

そして、今日みたいに私ができないことも翔がいたら叶うこともある。

結婚したって、友達は友達だよね。

旦那が翔に嫉妬するなら翔の存在を隠せばいい。

ってそんな単純なことではないのかな。

そんなことを一人考えてたら、翔を呼び出してお酒を飲みたくなってきた。

でも、今日は祖母がいるからお酒は飲んじゃダメって母から固く言われていたっけ。

そうだよね。

もし何かあったら真っ先に気づいて対応しなくちゃいけないんだもの。

私は自分の頭をコツンと叩いて湯呑をテーブルに置く。

どれくらいの時間が経ったのだろう。

いつの間にか部屋の一人用の肘掛け椅子で座ったまま寝てしまっていた。

ハッとして時計を見るともうすぐ18時。一時間も寝ていたことに驚く。
朝も早かったし私も疲れてたのかもしれない。

祖母もまだ寝ているようだ。そろそろ晩御飯だから起こさないと。

ベッドにそっと近づきその肩に手を乗せた。

「おばあちゃん、もうすぐご飯だけど」

自分の手のひらから微かに小刻みな振動が伝わってくる。

なんだかおかしい。

「おばあちゃん?」

布団を頭から被っている祖母の顔に自分の顔を近づけた。



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