気づけばいつも探してた
祖母の肌は土気色で、紫になった唇は何か言いたげに開いている。

そして、目はギュッと強く閉じたまま体全体が震えていた。

「おばあちゃん?どうしたの?」

そんな祖母の状態を見たことがなかった私の声がパニックで上ずる。

祖母は苦しそうに「うう……」と小さくうなるだけで、その震えは治まる様子がない。

どうしよう?

私は頭を抱えたまま、ベッドの周りでウロウロするしかなかった。

いや、ウロウロしてるだけじゃ何も解決しないし助けられない。

翔。

そうだ、さっき翔が何かあったらすぐ呼んでって言ってたっけ。

私と同じで疲れて寝ているかもしれない翔を起こすのは気がひける。

だけど、そんなことも言ってられない。

私は震える祖母の肩に手を置いたまま、自分のスマホを耳にかざした。

その時、部屋の扉を誰かがノックする音が響く。

こんな時に?

スマホを耳に当てたまま、扉に向かうと「俺だよ、俺」という翔の声がした。

「翔?」

まだ電話は繋がっていない。

私は慌ててスマホを自分のベッドの上にほおり投げ扉を開けると、不安と険しさが入り混じる表情の翔が立っていた。

「ごめん。休んでた?」

「ううん、実は私も翔に今連絡とってたの」

「もしかしておばあちゃんに何かあった?ちょっと俺も気になることがあって見に来たんだけど」

「実は」

言いかけた私の表情から察したのか、翔はすぐに祖母の元へ駆け寄った。

「おばあちゃん?」

祖母の異変にすぐに気づいた翔は私の方に向き直り「すぐ救急車呼んで!」と言った。

「は、はい!」

やはり祖母の容態はただ事じゃないんだ。

途端に一気に堪えていた不安が私を襲い、体中が震え始める。

その震える手で必死に119をプッシュしどうにか救急車を呼んだ。

「降圧剤も飲んでたわりに血圧が高かったからもしかして脱水症状かもしれない」

翔は祖母の脈を図りながら静かに私に告げる。

< 91 / 186 >

この作品をシェア

pagetop