イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「愛菜たちといると、私も王子ではなくディオというひとりの人間として接することができます」
「うん、私たちは王子のディオくんと友だちになったんじゃないよ」
強くうなずいてみせれば、私の言葉をつなぐように剣ちゃんも口を開く。
「ダチになったディオが王子だったってだけだ。つーかお前、王子っていうよりホストだな」
私たちの言葉を聞いたディオくんは、目を丸くしてぎょっとした顔をした。
それからしばらくして、ぷはっと吹きだす。
それはいつもの外行きの王子の笑顔ではなく、もっとくだけたものだった。
「ホスト、日本では女性を楽しませる職業でしたね! そうだ、王子をクビになったらホストに転職して日本に来ますよ。愛菜のそばにいたいですから」
「ディオ、てめぇ……理由が邪なんだよ」
「愛菜は魅力的なんです。王子に対してもまっすぐで、正しいことやそうでないことをはっきり口にしてくれます。絶対に私のプリンセスにします」
そう宣言して、ディオくんが私をエレベーターの壁際に、じりじりと追いつめてくる。
それを阻止するように、剣ちゃんが私の手を引いた。
「だから、やらねぇって言ってんだろうが」
私を抱きしめながら、剣ちゃんはディオくんを睨みつける。
ああ、どうしてこうなっちゃうんだろう。
さっきまで、ほのぼのした空気になってたのに。
思わずため息をついたとき、ふと疑問がわく。
「あれ? エレベーターが止まってる?」
結構、話し込んでたのにまだ一階に到着してないなんて、おかしい。
そもそも、このエレベーター動いてたっけ?
そう思ってボタンを見ると、行先ボタンが押されていないことに気づいた。
「あ、ボタンを押し忘れてたんだね」
私は1階のボタンを押す。
すぐに下降し始めたエレベーターだったけれど、突然、急ブレーキがかかったみたいに停止する。
――ガタンッ。
「わっ」
体勢を崩した私に、2本の腕が伸びてくる。
「「愛菜!」」
剣ちゃんとディオくんの腕が後ろから私の脇の下に差し込まれて、前のめりになる身体を支えてくれた。
おかげで私は、顔面から転ばずにすむ。
「ふ、ふたりとも、ありがとう」
私は剣ちゃんとディオくんを振り返った。
すると、真っ先にディオくんがふっと笑う。
「どういたしまして」
ディオくんが笑うとあたりが輝くみたい。
さすが、王子様スマイルだなぁ。
キラキラしたディオくんに思わず見とれていると、剣ちゃんはエレベーターの非常ボタンを押す。
「やべぇな、反応してねぇ」
剣ちゃんが何度もボタンを押しても、カチカチと軽い音が鳴るだけで警備室にはつながらない。
「あ、スマホで連絡――」
そう思ってすぐ、スマホが教室にあるカバンの中にあることに気づく。
それは剣ちゃんもディオくんも同じだったようで、困ったように首を横に振っていた。
エレベーターの中って、狭くて圧迫感がすごいな。
こんなところに閉じ込められちゃうなんて……。
誰にも見つけてもらえなかったら、どうしよう。
ひたひたと迫ってくる恐怖に耐えるように、私は両手を合わせてぎゅっと握る。
それに気づいた剣ちゃんが私の頭をぽんっと撫でた。
「うん、私たちは王子のディオくんと友だちになったんじゃないよ」
強くうなずいてみせれば、私の言葉をつなぐように剣ちゃんも口を開く。
「ダチになったディオが王子だったってだけだ。つーかお前、王子っていうよりホストだな」
私たちの言葉を聞いたディオくんは、目を丸くしてぎょっとした顔をした。
それからしばらくして、ぷはっと吹きだす。
それはいつもの外行きの王子の笑顔ではなく、もっとくだけたものだった。
「ホスト、日本では女性を楽しませる職業でしたね! そうだ、王子をクビになったらホストに転職して日本に来ますよ。愛菜のそばにいたいですから」
「ディオ、てめぇ……理由が邪なんだよ」
「愛菜は魅力的なんです。王子に対してもまっすぐで、正しいことやそうでないことをはっきり口にしてくれます。絶対に私のプリンセスにします」
そう宣言して、ディオくんが私をエレベーターの壁際に、じりじりと追いつめてくる。
それを阻止するように、剣ちゃんが私の手を引いた。
「だから、やらねぇって言ってんだろうが」
私を抱きしめながら、剣ちゃんはディオくんを睨みつける。
ああ、どうしてこうなっちゃうんだろう。
さっきまで、ほのぼのした空気になってたのに。
思わずため息をついたとき、ふと疑問がわく。
「あれ? エレベーターが止まってる?」
結構、話し込んでたのにまだ一階に到着してないなんて、おかしい。
そもそも、このエレベーター動いてたっけ?
そう思ってボタンを見ると、行先ボタンが押されていないことに気づいた。
「あ、ボタンを押し忘れてたんだね」
私は1階のボタンを押す。
すぐに下降し始めたエレベーターだったけれど、突然、急ブレーキがかかったみたいに停止する。
――ガタンッ。
「わっ」
体勢を崩した私に、2本の腕が伸びてくる。
「「愛菜!」」
剣ちゃんとディオくんの腕が後ろから私の脇の下に差し込まれて、前のめりになる身体を支えてくれた。
おかげで私は、顔面から転ばずにすむ。
「ふ、ふたりとも、ありがとう」
私は剣ちゃんとディオくんを振り返った。
すると、真っ先にディオくんがふっと笑う。
「どういたしまして」
ディオくんが笑うとあたりが輝くみたい。
さすが、王子様スマイルだなぁ。
キラキラしたディオくんに思わず見とれていると、剣ちゃんはエレベーターの非常ボタンを押す。
「やべぇな、反応してねぇ」
剣ちゃんが何度もボタンを押しても、カチカチと軽い音が鳴るだけで警備室にはつながらない。
「あ、スマホで連絡――」
そう思ってすぐ、スマホが教室にあるカバンの中にあることに気づく。
それは剣ちゃんもディオくんも同じだったようで、困ったように首を横に振っていた。
エレベーターの中って、狭くて圧迫感がすごいな。
こんなところに閉じ込められちゃうなんて……。
誰にも見つけてもらえなかったら、どうしよう。
ひたひたと迫ってくる恐怖に耐えるように、私は両手を合わせてぎゅっと握る。
それに気づいた剣ちゃんが私の頭をぽんっと撫でた。