イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「きゃっ」
私はよろけて、ショーケースの中に倒れ込んだ。
「これ以上、俺の楽しみを奪わせないためにも、きみが二度と俺に反抗したくなくなるようにしつけるためにも……愛菜さん」
私を見下ろした雅くんは、にっこりと笑う。
「ここで少し、俺と遊ぼう」
笑ったり怒ったり、一瞬で感情が反転する雅くんに恐怖心が増していく。
それでも、私は雅くんを真っ向から見つめて叫ぶ。
「そんな理由で私を狙ったの? 信じられない!」
そのために、何度剣ちゃんが傷ついたか。
お父さんとお母さんがどれだけ不安にさせたか。
雅くんは、なにもわかってない。
親友たちにも心配をかけたし、ディオくんだって巻き込まれた。
悔しくて、胸が痛くて、許せなくなる。
「きみにとっては〝そんな理由〟でも、俺にとっては重要なことだよ」
雅くんはショーケースの中に私の全身を無理やり押し込んで、扉を閉める。
それから鍵を閉めて、ホースのようなものを持ってくると上の丸い穴に差し込んだ。
雅くんは、なにをする気なの?
恐怖で冷たくなる指先をぎゅっと握る。
でも、不安が消えることはなかった。
そばに剣ちゃんがいてくれたら……。
こんな状況でも、強気でいられたのに。
心の中で大好きな人を思い浮かべて涙が出そうになっていると、雅くんはどこかに電話をかけ始めた。
「あぁ、森泉先生ですか」
――お父さん!?
雅くんはわざわざビデオ通話にして、ニヤリと笑いながら私の姿を映す。
すると、雅くんのスマホの画面に映るお父さんの顔が青ざめるのがわかった。
「愛菜! きみは安黒先生の息子さんか。これはどういうつもりだ!」
「取引をしましょう。大事な娘さんを無事に返す代わりに、議員を辞職していただきたい」
「こんなことをして、ただではすまないぞ」
一瞬は取り乱したお父さんだけれど、すぐに冷静さを取り戻したのが声のトーンで感じ取れた。
でも、私にはわかる。
お父さん、すごく私のことを心配してる。
怖いんだ、私がいなくなるんじゃないかって。
それに気づいているのか、いないのか。
雅くんは、ふふっと肩を震わせて笑いだす。
異様で危うい空気をまとった雅くんが恐ろしくてたまらない。
「森泉先生、俺の代わりに主犯として出頭してくれる人間は腐るほどいるんですよ」
「自分の罪を誰かに肩代わりさせる気か? もしくはお父さんの権力を使って、もみ消すつもりだね」
雅くんはその問いに答える気はないらしく、私のいるショーケースに差し込まれたホースを指で撫でる。
私はよろけて、ショーケースの中に倒れ込んだ。
「これ以上、俺の楽しみを奪わせないためにも、きみが二度と俺に反抗したくなくなるようにしつけるためにも……愛菜さん」
私を見下ろした雅くんは、にっこりと笑う。
「ここで少し、俺と遊ぼう」
笑ったり怒ったり、一瞬で感情が反転する雅くんに恐怖心が増していく。
それでも、私は雅くんを真っ向から見つめて叫ぶ。
「そんな理由で私を狙ったの? 信じられない!」
そのために、何度剣ちゃんが傷ついたか。
お父さんとお母さんがどれだけ不安にさせたか。
雅くんは、なにもわかってない。
親友たちにも心配をかけたし、ディオくんだって巻き込まれた。
悔しくて、胸が痛くて、許せなくなる。
「きみにとっては〝そんな理由〟でも、俺にとっては重要なことだよ」
雅くんはショーケースの中に私の全身を無理やり押し込んで、扉を閉める。
それから鍵を閉めて、ホースのようなものを持ってくると上の丸い穴に差し込んだ。
雅くんは、なにをする気なの?
恐怖で冷たくなる指先をぎゅっと握る。
でも、不安が消えることはなかった。
そばに剣ちゃんがいてくれたら……。
こんな状況でも、強気でいられたのに。
心の中で大好きな人を思い浮かべて涙が出そうになっていると、雅くんはどこかに電話をかけ始めた。
「あぁ、森泉先生ですか」
――お父さん!?
雅くんはわざわざビデオ通話にして、ニヤリと笑いながら私の姿を映す。
すると、雅くんのスマホの画面に映るお父さんの顔が青ざめるのがわかった。
「愛菜! きみは安黒先生の息子さんか。これはどういうつもりだ!」
「取引をしましょう。大事な娘さんを無事に返す代わりに、議員を辞職していただきたい」
「こんなことをして、ただではすまないぞ」
一瞬は取り乱したお父さんだけれど、すぐに冷静さを取り戻したのが声のトーンで感じ取れた。
でも、私にはわかる。
お父さん、すごく私のことを心配してる。
怖いんだ、私がいなくなるんじゃないかって。
それに気づいているのか、いないのか。
雅くんは、ふふっと肩を震わせて笑いだす。
異様で危うい空気をまとった雅くんが恐ろしくてたまらない。
「森泉先生、俺の代わりに主犯として出頭してくれる人間は腐るほどいるんですよ」
「自分の罪を誰かに肩代わりさせる気か? もしくはお父さんの権力を使って、もみ消すつもりだね」
雅くんはその問いに答える気はないらしく、私のいるショーケースに差し込まれたホースを指で撫でる。