イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「なんで、俺のことでそんなムキになってんだよ」


剣ちゃんは、私の頬を指で押した。

その拍子に、ふしゅーっと私の口から空気が出る。


「剣ちゃんは、私のヒーローだから。出会った瞬間から、この人なら信じられるって直感したの」

「……その直感、どこまであてになんだか、わかったもんじゃねえな」


剣ちゃんは私の髪を両手で、わしゃわしゃとかき回した。


「わーっ、なにするの!」

「お前みたいな能天気な女、守るとかマジ勘弁だわ」

「ええっ!?」


また、能天気って言われた!
ひどい……。

無言でムッとしていると、剣ちゃんは私の額にデコピンをしてくる。


「あたっ」


地味に痛い!

でも、剣ちゃんの頬は錯覚かもしれないけれど少し赤くなっていた気がした。

涙目でおでこをさすっていると、剣ちゃんは不良さながらの表情で凄んでくる。


「いいか? 俺に面倒かけるな、自由にふらふら行動すんじゃねぇ。なにかあったら、俺に逐一報告しろ」


ずいっと顔を近づけてきて、矢継ぎ早に注意事項をまくしたてていく剣ちゃんは最後に念を押す。


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