イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「わかったな?」

「はい、了解です!」


にっこり笑って、なんとなく敬礼すると、剣ちゃんは一瞬固まって……。


「お前といると調子狂うわ、ほんと」

そうこぼしていた。



剣ちゃんと一緒に朝食をとったあと、私たちは家を出て学園までやってきた。


「お前の家の飯、朝から豪勢すぎねぇか? パンもジュースも種類ありすぎだろ。それにサラダにフルーツって……バイキングかよ」


校門から昇降口までの長い並木道を歩きながら、剣ちゃんはいつもより饒舌に我が家の朝食について語っている。


「ソーセージにハム、ベーコン、卵の焼き方はどのようにしますかって聞かれても、わからねえ」

「ふふっ、これから慣れていったらいいよ」


真剣に悩んでる姿がちょっとかわいくて、私は笑ってしまった。


「うちで出るのは一般的なイングリッシュブレックファーストだよ」


「イングリ……やめろ。英語は聞くだけで頭痛がする」


げんなりしている剣ちゃんに、私は苦笑いする。

剣ちゃん、英語苦手なのかな?


「ご、ごめん。イギリス風の朝食ってことだよ。希望があれば、イタリアンのフルコースでも、なんでも作ってくれるから、剣ちゃんも遠慮せずにリクエストしてね」

「朝からそんなに食えるかよ……」

「え、じゃあ剣ちゃんの家ではどんなご飯が出るの?」

「和食。普通に、ご飯とかみそ汁とか焼き魚が出る。つーかお前、あんまし肉ばっか食ってると肥えるぞ」

「それって、遠回しに私が太ってるってこと!?」


ショックを受けていると、剣ちゃんはバツが悪そうに明後日の方向を見る。


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