イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「いや、お前は……ちょうどいいんじゃね? 結構、柔らかかったっつうーか、抱き心地がよかったし」
もごもごとつぶやく剣ちゃんの言葉に、私の顔は熱を帯びる。
「だ、抱き心地は恥ずかしいといいますか……」
「そこだけ拾うんじゃねぇ」
剣ちゃんの耳も、ほのかに赤く染まっている。
私たちは気恥ずかしい空気をまとったまま、昇降口にやってきた。
静まらない心臓を深呼吸でなだめながら下駄箱を開けると、その中を見て私は目を丸くする。
「……え?」
そこにはペンキで真っ黒に染められた薔薇の花がびっしり入っていた。
下駄箱の取っ手をつかんだまま私がフリーズしていると、剣ちゃんがいぶかしげに隣にやってくる。
「なんだ……これ」
「黒薔薇って、たしか『永遠の死』って意味があるんだよね。だから、お葬式でも使われるんだって」
「だって、じゃねぇ。学園の中でも狙われてんのかよ……。お前、スマホ貸せ」
険しい顔で手を出す剣ちゃんに、私は自分のスマホを鞄から取り出して渡す。
すると、慣れた手つきで連絡先を私のスマホに登録してくれた。
「俺がそばにいないときになんかあったら、電話かメッセージ寄越せ」
返されたスマホを胸の前で握りしめる。
剣ちゃんが連絡先を教えてくれた。
警戒心が強い剣ちゃんがテリトリーの中に少しだけ入ることを許してくれたような気がして……。
わーっ、わーっ、どうしようっ。
うれしい!
ふふっと笑いながら、私は上目遣いに剣ちゃんを見て、おずおずと尋ねる。
もごもごとつぶやく剣ちゃんの言葉に、私の顔は熱を帯びる。
「だ、抱き心地は恥ずかしいといいますか……」
「そこだけ拾うんじゃねぇ」
剣ちゃんの耳も、ほのかに赤く染まっている。
私たちは気恥ずかしい空気をまとったまま、昇降口にやってきた。
静まらない心臓を深呼吸でなだめながら下駄箱を開けると、その中を見て私は目を丸くする。
「……え?」
そこにはペンキで真っ黒に染められた薔薇の花がびっしり入っていた。
下駄箱の取っ手をつかんだまま私がフリーズしていると、剣ちゃんがいぶかしげに隣にやってくる。
「なんだ……これ」
「黒薔薇って、たしか『永遠の死』って意味があるんだよね。だから、お葬式でも使われるんだって」
「だって、じゃねぇ。学園の中でも狙われてんのかよ……。お前、スマホ貸せ」
険しい顔で手を出す剣ちゃんに、私は自分のスマホを鞄から取り出して渡す。
すると、慣れた手つきで連絡先を私のスマホに登録してくれた。
「俺がそばにいないときになんかあったら、電話かメッセージ寄越せ」
返されたスマホを胸の前で握りしめる。
剣ちゃんが連絡先を教えてくれた。
警戒心が強い剣ちゃんがテリトリーの中に少しだけ入ることを許してくれたような気がして……。
わーっ、わーっ、どうしようっ。
うれしい!
ふふっと笑いながら、私は上目遣いに剣ちゃんを見て、おずおずと尋ねる。