イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「信じて待ってろ。いいな?」
私に言い聞かせる剣ちゃんの声は、いつもより柔らかい。
「剣ちゃん、わかった……信じてる」
だけどね、どうか無事でいて――。
剣ちゃんは私の手をやんわりと離すと、階段を数段飛ばして男たちとの距離を詰める。
「歯ぁ食いしばれよ!」
その勢いのまま、流れるような動きで剣ちゃんは男に殴りかかった。
「ぐあっ」
「寄って集ってじゃねぇと女ひとりさらえねぇクズなだけあって、準備運動にもならねぇな」
余裕を浮かべたまま、剣ちゃんは首を回している。
その姿に、男たちは激怒した。
「ちょこまかと動きやがって!」
「お前らがのん気に地蔵みてぇに突っ立ってるだけだっつうーの。あぁ、俺の動きについてこれてねぇだけか」
挑発するように剣ちゃんは口の端で笑うと、あっという間に数人の男たちを倒してしまった。
「おら、片づいたぞ」
剣ちゃんは階段下から、私に手を差し出す。
タキシードもよれよれで、頬には拳がかすったのか傷がある。
それでも剣ちゃんの瞳には揺るぎない強さが宿っていて、私はこんな状況なのに見惚れていた。
剣ちゃん、本当に勝っちゃった。
やっぱり、私のヒーローだ。
微動だにしない私にしびれを切らしたのか、剣ちゃんは階段を上がってくると私の手を取る。
「ぼさっとしてんな! 行くぞ!」
剣ちゃんに手を引かれて、一気に階段を駆け降りる。
恐怖で足がすくみそうになるけれど、繋いだ手から伝わる剣ちゃんのぬくもりに励まされて、なんとか逃げることに成功した私たちは……。
「娘を守ってくれて、ありがとう」
お父さんとも合流することができた。
「剣斗くんのおかげで、私はまた愛菜に会えた。本当に、本当にありがとう……っ」
剣ちゃんはものすごく感謝されていて、お開きになったパーティーから屋敷に帰ってくる頃には、もう真夜中になっていた。
私に言い聞かせる剣ちゃんの声は、いつもより柔らかい。
「剣ちゃん、わかった……信じてる」
だけどね、どうか無事でいて――。
剣ちゃんは私の手をやんわりと離すと、階段を数段飛ばして男たちとの距離を詰める。
「歯ぁ食いしばれよ!」
その勢いのまま、流れるような動きで剣ちゃんは男に殴りかかった。
「ぐあっ」
「寄って集ってじゃねぇと女ひとりさらえねぇクズなだけあって、準備運動にもならねぇな」
余裕を浮かべたまま、剣ちゃんは首を回している。
その姿に、男たちは激怒した。
「ちょこまかと動きやがって!」
「お前らがのん気に地蔵みてぇに突っ立ってるだけだっつうーの。あぁ、俺の動きについてこれてねぇだけか」
挑発するように剣ちゃんは口の端で笑うと、あっという間に数人の男たちを倒してしまった。
「おら、片づいたぞ」
剣ちゃんは階段下から、私に手を差し出す。
タキシードもよれよれで、頬には拳がかすったのか傷がある。
それでも剣ちゃんの瞳には揺るぎない強さが宿っていて、私はこんな状況なのに見惚れていた。
剣ちゃん、本当に勝っちゃった。
やっぱり、私のヒーローだ。
微動だにしない私にしびれを切らしたのか、剣ちゃんは階段を上がってくると私の手を取る。
「ぼさっとしてんな! 行くぞ!」
剣ちゃんに手を引かれて、一気に階段を駆け降りる。
恐怖で足がすくみそうになるけれど、繋いだ手から伝わる剣ちゃんのぬくもりに励まされて、なんとか逃げることに成功した私たちは……。
「娘を守ってくれて、ありがとう」
お父さんとも合流することができた。
「剣斗くんのおかげで、私はまた愛菜に会えた。本当に、本当にありがとう……っ」
剣ちゃんはものすごく感謝されていて、お開きになったパーティーから屋敷に帰ってくる頃には、もう真夜中になっていた。