イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「好きだ」


あ……。

胸に剣ちゃんの想いが染み込んで、じわじわと広がっていく。

私は身体を反転させて、剣ちゃんのほうを向いた。

私もちゃんと伝えよう。


「剣ちゃん……私も、私も剣ちゃんが好きだよ」


恥ずかしかったけど、言っちゃった。
剣ちゃん、どう思ったかな。

照れながらも剣ちゃんを見ると、目を見張ったまま言葉を失っている様子だった。


「……やべぇな」


口もとを手でおおってつぶやいたあと、剣ちゃんは私をぎゅっと抱きしめて幸せそうに笑う。


「もう、俺のもんだ。誰にもやらねぇ」


私の瞼に、頬に、鼻先にキスの雨を降らす剣ちゃん。

慈しむような触れ方で、さっきまで騒がしかった鼓動が落ち着いていく。

剣ちゃんが私にくれるものは、いつもどれも新鮮。

強引なキス、ついばむようなような軽いキス。

そっと触れるだけの優しいキスに、想いを注ぐような深いキス。

あんなに怖いことがあったのに、不思議だな。

いろんなキスと見たこともない剣ちゃんの表情の数々が私の心を満たしていって……。

いつの間にか、不安を塗り替えるほどの幸福感のなかで、ふたり寄り添うように眠りについた。
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