明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
私を誘拐したという冤罪を受け入れてまで助けてくれようとした信吾さんに、もう一度苦しい思いをさせるべきではない。
けれど、なんの力もない私になにができる?
信吾さんと一緒にいられるなら、結婚できなくても構わない。
一生日陰の身でもいい。
とはいえ、彼が別の女性と所帯を持ち、その人を抱くのをそばで見ていなければならないのは苦痛としか言いようがない。
なんてわがままなのだろうと自分で呆れる。
でも、これが本音だ。
しばらくして私を解放した彼は、熱を確かめたときのように額をコツンと合わせる。
「落ち着いたら、もうひとり欲しいな」
「えっ? 赤ちゃん?」
「うん。俺たちの宝物」
彼は優しく微笑んだあと、そっと唇を重ねた。