明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「お母さま、雪合戦ってなぁに?」
「雪で玉を作って投げ合うのよ」
着物をさらに重ねながら話していると、信吾さんがやってきて直正を抱き上げた。
「やってみればわかるぞ」
「うん!」
ふたりの笑顔がなによりうれしい。
私も羽織を纏って見学に行くことにした。
「わっ、冷たい」
「直正、それは大きすぎる」
欲張って大きな玉を作っている直正を見て、信吾さんが肩を揺らしている。
「ほら、こうやってぶつけるんだ」
「わっ、ずるい」
信吾さんが軽く直正に投げると、直正は不貞腐れている。
しかしすぐに大きな玉を投げ返した。
簡単によけられるのに、信吾さんはよけようとせずわざと当たっている。
微笑ましい光景に目尻が下がる。
しばらくふたりは雪合戦を続けていたが、今度は雪だるまを作り始めたので私も手伝った。
これまた初経験の直正ははしゃぎっぱなし。
「雪まるだ、大きいねぇ」
「雪まるだじゃなくて、雪だるまだ」